さまざまなつながりに感謝

芝垣 志津夫(しばたに しずお)さん

 

【プロフィール】

芝垣さんは12年前、奥さんの認知症発症のあと、但馬地域内にある認知症カフェを巡り、認知症との向き合い方を学んだ。カフェで、認知症の悩みを打ち明けることで気持ちが楽になったことや、当時は市内に認知症カフェが少なかったことから、5年前に自ら認知症カフェの開催を決意。開催する認知症カフェの名前は、闘病中に奥さんがよく口ずさんでいた「てまり唄」からとった。現在も、大路ダムの管理などを請け負う傍ら、毎月第2日曜に和田山生涯学習センターで認知症カフェ「てまり唄」を開催している。

 

【さまざまなつながりに感謝】

奥さんは昨年12月に他界——。芝垣さんは、奥さんとの闘病の日々を振り返り、「心無い言葉を浴びせてしまうことや辛いこともたくさんあった。その半面、たくさんの出会いをいただいたことで、今がある。おかぁちゃんのおかげ」と気丈に話し、認知症の介護を通して得た経験やつながりを前向きにとらえている。その献身的な姿を日々目にしていた娘さんたちからプレゼントされた「てまり唄」と背面にプリントされたユニフォームに袖を通し、今月も芝垣さんは出会いに感謝しながら認知症カフェを開催する。

 

【認知症の皆さんに寄り添いながら】

指先を動かす農作業が認知症の治療に効果的であると言われることから、芝垣さんは「いつかは、私が育てた農作物の収穫祭を開催したい」と新たな取り組みを検討している。奥さんの発症後、夫婦二人三脚で歩んできた闘病中に、多くの皆さんに支えられたことが芝垣さんの原動力となっている。同じ境遇の人の力になりたいと話す芝垣さんは、「今後は、自分がしていただいたことの恩返しをしていきたい。そして、認知症の人やその家族に寄り添いながら取り組んでいきたい」と穏やかな表情を見せた。